<Header>
<Author: 溫庭筠>
<Title: 蘇武廟>
<Format: 格式不明>
<Year: 1990>
<BookName: 唐詩三百首詳解  下卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 蘇武廟>
<BookPage: 276>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
蘇武魂銷漢使前，
古祠高樹兩茫然。
雲邊雁斷胡天月，
隴上羊歸塞草煙。
廻日樓臺非甲帳，
去時冠劒是丁年。
茂陵不見封侯印，
空向秋波哭逝川。
<End Poem>
<Translation>
蘇武は、漢の昭帝からの使者の前で、感動のあまり魂を奪われたようなありさまとなったが、今、この古いほこらと、高い樹木とは、ともにただ長い年月を経ているだけで、蘇武のそのことなど全く知らないようすである。
蘇武が見たものは、はるかな雲の流れる果てに、音信をもたらす雁の姿も消え失せて、胡地の空にかかっている月であり、丘の上を羊の群が帰って行く、辺境の草原に立ちこめるもやであった。 
匈奴から帰国した時、武帝の宮殿のとばりは、かつて宮中第一を誇った豪華な甲帳ではなくなっていたが、蘇武が匈奴に向かって出発した時は、かんむりとつるぎとを帯びた姿も若々しい強壮の若者であったのだ。
武帝の葬られた茂陵に諸でては、諸侯の印綬を与えられることもなく、ただ、秋の川波に向かって、過ぎ去って返ることのない十九年の歳月を惜しんで、嘆き泣くばかりであった。
<End Translation>
<Formatted Translation>
蘇武は、漢の昭帝からの使者の前で、感動のあまり魂を奪われたようなありさまとなったが、
今、この古いほこらと、高い樹木とは、ともにただ長い年月を経ているだけで、蘇武のそのことなど全く知らないようすである。
蘇武が見たものは、はるかな雲の流れる果てに、音信をもたらす雁の姿も消え失せて、胡地の空にかかっている月であり、
丘の上を羊の群が帰って行く、辺境の草原に立ちこめるもやであった。 
匈奴から帰国した時、武帝の宮殿のとばりは、かつて宮中第一を誇った豪華な甲帳ではなくなっていたが、
蘇武が匈奴に向かって出発した時は、かんむりとつるぎとを帯びた姿も若々しい強壮の若者であったのだ。
武帝の葬られた茂陵に諸でては、諸侯の印綬を与えられることもなく、
ただ、秋の川波に向かって、過ぎ去って返ることのない十九年の歳月を惜しんで、嘆き泣くばかりであった。
<End Formatted Translation>